投資リターン
投資家と企業の利益は一致する
投資リターン(Investment Return)とは?
「投資リターンとは?」簡単に説明すると、企業が稼ぎ出す収益の事です。
株式投資の場合、利益成長率 + 配当利回り = 投資リターンになります。
そして過去のデータから、実際の投資家の儲けと投資リターンは非常に近い数字になっていますので、投資リターンを予測する事で、そのアセットに投資する事で得られる利益がイメージしやすくなります。
※この利益成長率 + 配当利回りを、ジョン・C・ヴォーグル氏は著書のインデックス投資は勝者のゲームで投資リターンと記載されています。チャールズ・エリス氏の著書である敗者のゲーム〈原著第6版〉では基本的リターンと記載されています。同サイトでは投資リターンで統一します。
具体的に株式投資で考えてみますと、PERが不変であれば、
利益成長率 + 配当利回り = 投資家の利益
となります。
例えばPER10倍の企業で、利益成長率が7%/年、配当利回りが3%/年で、1年後のPERも10倍だったとします。
すると、投資家の利益は、株価の上昇率が7%(利益が7%増えて、PERが同じなら株価も7%増えている。)、配当利回りで3%、合計して10%/年となります。
やはりPERが変わらなければ、
利益成長率+配当利回り=投資家の利益
となりますね。
長期的には、投資リターン ≒ 投資家の利益!
では、実際の投資家の儲けと投資リターンはどれほどの相関性があるのか?
実際にそれを長期的に研究したのが下記の図です。
(出典:インデックス投資は勝者のゲーム 図表2-2を引用)
上記の図は、バンガードの創業者であるジョン・C・ボーグル氏が1900年~2016年の約116年間に渡って、アメリカの代表的な株で、投資家の利益(市場リターン)と企業の稼ぎ出す利益(投資リターン)をグラフにまとめたものです。
ジョン・C・ボーグルさんは、
- 投資リターン ・・・・ 利益成長率+配当利回り(9.0%/年)
- 投機的リターン ・・・ PERの変化率(0.5%/年)
- 市場リターン ・・・・ トータルリターン(9.5%/年)
としています。
上記をビジュアル的に分かり易くしたのが下記のグラフです。
実際に投資リターンと投資家の利益は、びっくりするくらい同じように推移しています。
違い(投機的リターン)は0.5%/年しかありません。
(出典:インデックス投資は勝者のゲーム 図表2-1を引用)
上記のデータを考慮すると、アメリカ株に関しては投資リターンを予測する事で今後の投資の収益も予想できそうですね。
今後もアメリカ企業が成長を続けるのなら、投資家はそれに比例した利益を享受できるのではないでしょうか。
ウォーレン・バフェット氏も下記のような発言をされています。
「私達は常に不確かな世界に生きています。
ただし、一つだけ確かな事があります。
それは、アメリカ経済は長期に渡って成長し続けるという事です。」
外国に投資する場合は為替も重要!
長期投資なら上記のアメリカ株のような代表的なアセット程、『投資リターン ≒ 投資家の利益』となると思えます。
ただ、外国のアセットに投資する場合は為替が大きく関係してきます。
投資リターンを計算する場合は下記の式のように日本との将来のインフレ率の差を引いて考える必要があるでしょう。
投資リターン ≒ 利益成長率 + 配当利回り - インフレ率の差 - 手数料コスト
例えば上記のアメリカ株なら、アメリカの今後のインフレ率は長期的にだいたい3%/年程度、日本の今後のインフレ率が長期的に1%だとします。
アメリカの方が2%/年程度インフレ率が高いのであれば、投資リターンを計算する始期の最後に-2%して考えるのが良いと思えます。